平成24年3月、埼玉県庁環境部自然環境課より、イノシシおよびシカの第3次埼玉県特定鳥獣保護管理計画が策定されました。
計画は生息動向および捕獲状況より考察されており、生息動向は昭和初期から現在までの調査結果から、捕獲状況は平成元年から22年までの狩猟者・許可従事者報告から分析されております。

 計画書には、平成元年から平成22年までの捕獲頭数の推移(イノシシ・本文図-4、シカ・本文図-6)および平成18年から平成22年までの地域別捕獲頭数(イノシシ・本文図-9、シカ・本文図-11)が示されており、当クラブの活動地域は、標準地域メッシュシステムに当てはめると、主にコードナンバー(5339)7122・6172・6122の飯能市西部地域に該当いたします。

 当クラブの活動実績は、県で報告された捕獲頭数データと比較することにより、客観的評価が可能となりますので、比較検討が可能な平成22年について、全県下狩猟・許可総捕獲頭数(銃・わな)と当クラブ狩猟総捕獲頭数(銃のみ)および県のメッシュコード別総捕獲頭数(狩猟・許可、銃・わな)と当クラブのメッシュコード別狩猟捕獲頭数(銃のみ)を対照し、表1に示しました。

表1. 平成22年 イノシシおよびシカ捕獲頭数(埼玉県全捕獲頭数に占める当クラブ捕獲頭数)
種別 地域別
捕獲数
7122内
捕獲数
6172内
捕獲数
6127内
捕獲数
全県下
捕獲数
イノシシ 当クラブ・狩猟
(銃のみ)
0 7 4 11
全県下・狩猟
(銃・わな)
0 16 4 380
全県下・許可
(銃・わな)
467
シカ 当クラブ・狩猟
(銃のみ)
0 34 3 37
全県下・狩猟
(銃・わな)
52 62 37 721
全県下・許可
(銃・わな)
660

また、目撃効率および捕獲効率についても、県のデータと当クラブのデータを対照し、表2に示しました。

表2.平成22年 イノシシ・シカ目撃効率および捕獲効率-全県下狩猟と当クラブ狩猟比較-
種別 比較項目 当クラブ 全県下
イノシシ 目撃効率 0.55 0.14
捕獲効率 0.29 0.06
出猟人日 376 729
シカ 目撃効率 2.95 0.49
捕獲効率 0.98 0.16
出猟人日 376 729

 当クラブの平成22年のシカ捕獲数は、狩猟期の銃猟のみで37頭でした。これに対し、全県下における狩猟期の捕獲数は、銃猟とわな猟の合計で721頭となっており、当会の捕獲実績は、銃猟単独でも県内の捕獲数の約5%に達しております。さらに、会員の中には、単独猟で数頭のシカを捕獲する者も数名おり、当クラブは、正にシカ猟のエキスパート集団であるといえます。

 当クラブの平成22年のイノシシ捕獲数は、狩猟期の銃猟のみで11頭でした。これに対し、全県下における狩猟期の捕獲数は、銃猟とわな猟の合計で380頭となっており、当会の捕獲実績は、銃猟単独でも県内の捕獲数の約3%に達しております。シカ猟と比較して捕獲比率では見劣りしますが、4年間の許可捕獲において銃猟による捕獲数は全体の16.4%であったと報告されており、狩猟期における銃猟による捕獲数も100頭以下であるものと推定され、当クラブでのイノシシの捕獲数は、県内の銃狩猟による捕獲数の1割に達するものと考えられます。したがって、当クラブは、イノシシ猟においても、銃猟では屈指の実力を持った集団であるといえます。

 当クラブの活動地域は、西川材で有名な人口針葉樹林の多い、飯能市西部地区になります。耕作農地・耕作放棄農地ともに少ない地域で、牧草地や広葉樹林も多くありません。このような地域的特徴から、シカの生息数が多く、イノシシの生息数は比較的少ない地域でありますが、シカ猟はもとよりイノシシ猟においても、当地では圧倒的な実績を残してまいりました。これらの実績は、表2に紹介した目撃効率および捕獲効率からも、客観的に評価をすることができます。

 平成22年の目撃効率および捕獲効率を、県データと比較すると、当クラブにおいてはシカ猟・イノシシ猟とも、目撃効率で2.95・0.55、捕獲効率で0.98・0.29とかなり高率であることが示されております。すなわち、頻繁にシカ・イノシシを目撃し効果的に捕獲できていることなります。

 当クラブが行っている巻狩り猟の目撃効率においては、シカ・イノシシの寝屋を徹底して捜索できる猟犬と勢子の経験と体力が重要な要素であり、正確なたつまの位置の把握も大切な要素になります。また、捕獲効率においては、射撃の技量は当然として、やはり正確なたつまの位置の研究が大切な要素になります。

 当クラブでは、いち早くアストロガーミン社のドックトラッキングGPSシステムを取り入れ、実際の犬の訓練を通じ、伝承されてきた寝屋の位置とたつまの位置を、猟犬の追跡経路から見直し、正確な射撃位置を確認した結果、目撃効率および捕獲効率は飛躍的に向上いたしました。当然の帰結として、効果的な山割り(巻狩りの範囲)が推測できるようになり、小範囲少人数による機動的な巻狩りも実施できるようになりました。

 現在、当クラブで使用しているGPSモニターには、会の活動範囲内のすべての寝屋とたつまが記録されており、各猟場における巻狩りの範囲をカラーで図示できるように地図ソフトの改造も加えております。さらに、標準地図ソフトに記載されていない林道等の目印も追加入力してあり、犬の追跡経路を瞬時に把握することができるようになっております。

 当クラブで平成22年に捕獲したイノシシ11頭のうち、3頭は一旦たつま抜けをした後に、犬の追跡経路から予測される逃走先たつまにおいて捕獲されており、2頭は同じく一旦たつま抜けをした後に、GPSで把握した犬の噛み留めの位置で捕獲されております。
 これらのエピソードは、正にITイノベーションの恩恵によるところであり、今後も、当クラブでは、伝統的なマタギの知恵に加え、先進的なテクノロジーを融合させ、猟芸を発展させていく所存であります。